平成24年2月定例会 環境農林水産常任委員会 知事質問 3月19日(月)

平成24年2月定例 会環境農林水産常任委員会 知事質問 3月19日(月)

◎都市農業の振興と相続税納税猶予制度について
◎災害廃棄物の受け入れについて

○委員長(三浦寿子君)次に、北川法夫君を指名いたします。北川委員。

◆(北川法夫君)おはようございます。知事には連日御苦労さまでございます。
 知事も、それぞれこの立場におられる方がおられると思いますけども、大阪の農業のことには熟知しておられると認識はしているんですけど、しかし世代が違いますので、その点は大分感覚は違うかもわかりませんので、お聞きをしていきたいと思います。この大阪の都市農業の振興や相続税の納税猶予制度に対する見解について知事にお答えをいただけたらと思っています。
 この大阪の農業は、栽培技術の継承や品種の改良、ブランド化に伴って、長年の年月をかけて農家の経験やたゆまぬ努力によって、何代にもわたって守り続けてこられて振興されてきております。大阪では、府内の農地全体の約三割が市街化区域内にあるということで、その中には三十年の永続を約束した生産緑地というものが含まれていることを御存じいただいていると思いますが、ここでの営農も決して軽視できないと私は思っております。
 生産緑地は、平成三年、生産緑地法の改正に伴って、三大都市圏の特定市にある市街化区域内のすべての農地に、農家が保全すべき農地として生産緑地の指定を受ける、または宅地化を図る農地として、いずれかを選択されて、その結果、指定面積がふえたわけでございます。現在、この指定後二十年余りが経過をいたしておりまして、今後、農家がさらに高齢化をしていき、将来にはこの生産緑地が農地として残されていくかどうか大変疑問に思っておりまして、大きな転換期を迎えることになると思っております。
 北河内地域及び河内地域でも、生産緑地で大葉や紅タデ、レンコンなど、地域の特徴を生かした作物が生産をされております。また、学習農園としても利用されており、子どもたちが、作物を栽培、収穫し、食べることを通じて喜びや楽しみを感じることができる食育の場にもなってきております。
 しかしながら、生産緑地で農家が幾ら頑張っても、将来、高齢化や後継者不足になり、農業が継続できなくなるんではないかなと思っております。その際、生産緑地を市民農園にしたり、他の担い手に貸したりした場合は、相続税納税猶予の適用を受けることができません。農業振興や農地の保全に大変ネックになっておると思っております。
 このような状況を改善するため、農地を貸す場合にも相続税納税猶予制度の適用を受けるべきと考えており、国へ強く働きかけていくべきだと考えておりますが、知事はこの生産緑地の農業の振興や保全についてどのように認識をされているのか、また税制度をどのような課題と考えているのか、お伺いをしたいと思います。

◎知事(松井一郎君)私自身も、僕はまだ載っていませんが、おやじは農家台帳に載っている農家の一員でありますし、おばあちゃんは農協婦人部の会長でしたから、それが、今、市街化区域の中で現在も農業をやっております。地元の八尾市でも若ゴボウ、枝豆というものが特産品であり、非常においしくて、なかなか地元でも手に入らないぐらいあちこちで人気がある商品になっておりますし、八尾も都市という形に大分なってきていますので、この生産緑地での農業の振興というものは極めて重要と認識をいたしております。
 また、高齢化問題により担い手が不足するということで、その生産緑地が市民農園や子どもたちの学習農園として活用され、さらに都市における緑の自然を感じることができる貴重な空間として役割を果たしているというのも認識をいたしております。
 委員お示しのとおり、都市農業の振興や保全に当たっては、生産緑地における相続税猶予の制度の見直しが必要であります。これまでも府として国に対して働きかけをしてまいりましたが、今後はこれまで以上に国に強く制度改正を求めてまいります。

◆(北川法夫君) 時間はないと思いますが、知事も後継者の一人ですから、十分、農業の振興のためにみずからも汗をかいていただくことをお願いしておきます。
 先ほど中野委員からも質問がありましたけども、災害廃棄物の受け入れについて知事のお考えを聞きたいと思います。
 府では、災害廃棄物の受け入れを行うべく、処理指針の策定や予算措置などといった手続を進めておられます。被災地の早期復興・復旧のことを考えると、一刻でも早く処理を開始すべきであると思います。知事も、この問題については、かねがね、府民の安全安心を第一に早期処理を開始すべきとおっしゃっておられます。この点については私の認識と共通するところでございますが、速やかに災害廃棄物の受け入れを進めるためには、受け入れを表明した大阪市との連携が非常に重要であると考えます。府が課題としている焼却施設や最終処分場を大阪市が所有しており、また大阪市では、北港処分地での埋め立てに対する安全性について、府市共同で個別評価の手続を進めておるという答弁がございました。速やかに受け入れを開始するためにも、府市一体となった取り組みが必要であることは容易に想像されるが、府市統合本部で受け入れの検討、決定を行うことはあるのかないのか、また今後の予定と知事の本気度についてお伺いをしたいと思います。

◎知事(松井一郎君) これは、府市統合本部というよりも、もう受け入れは決定をさせていただいております。大阪府としては、府民が健康被害に遭わないレベル。ですから、受け入れ指針を策定させていただきまして、橋下市長も受け入れについては賛同をしていただいております。あとは、今、委員お示しの北港処分場の個別評価を今環境庁にやっていただいておりまして、この評価で、北港最終処分地にどういう形で受け入れれば全く問題ないという形での国の明確な判断をいただければ、随時この受け入れをスタートさせたいと思っております。

◆(北川法夫君) では、北港の最終処分場の決定がされるまでといいますか、決められるまでには百トンの試験焼却もできないということ、またしないということでいいわけでございますね。確認だけ、よろしく。

◎知事(松井一郎君) 最終処分地が決まらない限りは、焼却もいたしません。

◆(北川法夫君) 大阪市との連携については理解をさせていただきます。
 災害廃棄物を受け入れるためには、大阪市以外の市町村の協力を欠かすことはできません、大阪府で焼却場を持つわけじゃありませんので。最終処分場の個別評価の結論が出ていない状況で、協力の方向すら決定できない市町村もあると聞いております。市町村の理解を得るためにも、速やかに最終処分場を決めていく必要があると思いますが、フェニックスの個別評価についてはいつごろをめどに進めていく予定なのか、フェニックスでの埋立処分を中心に、今後のスケジュールについてお伺いをしたいと思います。

◎知事(松井一郎君) フェニックスの埋立処分場については、関西広域連合として、災害廃棄物の受け入れに向けた統一基準を今月中に策定する予定であります。管理者である大阪湾広域臨海環境整備センターに個別評価を受けるよう、広域連合として働きかけてまいります。
 市町村に御協力いただくには、最終処分地を決定することが非常に重要でありますので、私自身、国や大阪湾広域臨海環境整備センターなどの関係者に直接お願いすることも考えてまいりたいと思います。

◆(北川法夫君) 関西広域連合として受け入れ基準を策定するということ、先ほどの質問でもありましたけれども、手を挙げているとこがないということでありますから、いわゆる広域全体で処理することはあり得ないような感じを受けるんですが、その点については知事にもお伺いしたいと思いますが。いわゆる関西広域全体でその焼却について受け入れる基準をつくるということは、受け入れるということの基準なのか、どういう基準なのか、ちょっとわかりにくい面があるんで。

◎知事(松井一郎君) 先日の関西広域連合委員会でもお話が出ました。井戸連合長からは、大阪府が先にこの指針をつくってきていますから、それをもとに関西広域連合での基準をつくると。基準をつくる限りは、その基準を下回れば受け入れるということだと私は認識をしております。

◆(北川法夫君) 関西全域で受け入れていただくことを望むわけでありますけども、しかしその前にも最終処分場について個別評価が出て、一定進むような形になっておるわけでありますけども、実際に受け入れるためには、先ほど言いましたように市町村の焼却施設の処理が前提となっているわけであります。このため、府の担当は府内の市町村に対して処理指針の内容や放射能に関する情報等を説明し、協力支援を求めているとこの委員会の答弁でも聞かせていただいておりますが、市町村も判断に苦慮していると思われ、判断時期が遅くなってしまうと処理が進まないわけでありまして、大変懸念を持っているわけであります。そこで、スピード感を持って受け入れを進めるためには、知事がトップとして市町村への協力を仰ぐ時期ではないかと思うわけであります。その考え方があるのかないのか。
 ここに私は具体的に提案をしたいわけであります。これは私の感覚として。それぞれ市町村が受け入れるとしても、空間の放射線量を週一回、排ガス、排水、主灰、飛灰、放射能物質の濃度を月一回測定せないかん。やられたとこ全部月一回測定せなあかんと。こんなことが本当にできるのかどうかという心配もいたしております。提案したいのは、大阪市、八尾市も含めて八カ所、バグフィルターを設置された焼却施設を持っておられます。そこで、余分のある量を支援することを考えますと、放射能測定や作業車の施設点検、安全性、管理面を考えた場合は、焼却施設を分散するよりも災害廃棄物の処理施設一カ所に集中をして、効率的に多量の処理ができて、被災地の支援につながるのではないかと考えるわけであります。大阪市長に相談して、こういうことは決められないのかな、トップで決定すれば直ちに進むんではないかと。これぐらいの意気込みを持って被災地の支援に当たってもらいたいと私は思うわけであります。
 府内の市町村においても、災害の廃棄物の処理を支援する市町村の生活ごみを他の市町村が引き取ってでもこういう応援をすることで、多くの市町村が参加をして被災地支援を行っていくことのメッセージを全国に発信できるんではないかなと、そのようなことは、新しい大阪づくりを目指す知事にはピンチがチャンスではないかなと、そういう思いがあるんですが、知事のお考えはどうでしょうか。

◎知事(松井一郎君) 現在、担当部局が市町村にしっかりと説明をし、理解を求めているところであります。私自身も、市町村長とお会いするたび、要請はお願いをいたしております。今後とも、必要に応じて私自身が直接お願いをさせていただきたいと思います。
 処理指針に基づいた対応を実施していくことが市町村の理解を得やすいと考えておりますが、御提案については大阪市長と一度検討させていただきたいと思います。被災地のためにオール大阪で支援したいと考えており、早く受け入れに向けた課題を解決していきたいと考えています。

◆(北川法夫君) 最終処分場の構造の問題とか立地、埋立処分の方法、排水方法、こういう工事にもまた時間がかかるわけですね、決定されても。そういう時間がかかる中で、早く推進を、スピード感を持って焼却する。そんなことは当然なことだと思うわけであります。知事には府民の安全や安心の確保を必ずしていただいて、十八万トンという災害廃棄物を処理しなきゃいけませんので、早く処理されることを強く求めておきたいと思います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。