◆(北川法夫君) 自民党の北川法夫でございます。
 けさほどの委員会から、大阪の農業に対する振興策、また大阪産(もん)をどないしてくれんかと、いろんな質問がありましたし、大阪の農を愛する一人としても、これからの大阪の農業がいかになっていくのかという危機感と同時に、いい形で進んでいただきたいと、そんな思いで質問をさせていただきます。
 そして、その一番身近でいろんなことを考えておられる、行政委員会の中で農業委員会というのがあります。この農業委員会の活性化について、大阪府のかかわり方、そして大阪府はどのように思っておられるかについて質問をさせていただきたいと思います。
 農業委員会は、昭和二十六年ですから、戦後間もなく発足をされて以来、五十七年間にも及ぶ長い歴史の中で、農業、農業者の利益代表機関として農政の推進に大きな役割を果たしてこられました。厳しさを増す今日の農業・農村情勢の中にあって、その求められる役割も変わってきておると思っております。
 折しも食の安全性や食料の自給率向上が問題になっているさなか、府においては、大阪の農業と農空間を守るため、この四月から全国に先駆けて新条例をスタートさせて、優良農地の確保や担い手の育成などに努めておられるところでございます。
 中でも、地域農業の推進役として、また農地の番人として第一線で活動されております機関が農業委員会であると思っておりますが、この役割を担っている農業委員会が、私の認識といいますか、いろんなことを聞き及んでいる中で、地域格差はあるものの、全体としての組織体制そのものは、委員の高齢化率が高く、あすの農業を担う青年や担い手が不在で、農家の意見が反映されない状況になっているんではないかなという危惧をいたしておりますし、現実的にはその役割を果たせる体制になっているのかどうか、心配をするわけであります。
 農業委員会の活動そのものが大阪の今後の都市農業の発展や新条例の推進の成否に大きく影響するものであるため、今回は、この農業委員会について、府としてどのように支援指導し活性化を求めていくのかを聞かせていただきたいと思います。
 まず、その中で、農業委員会の法的位置づけや役割と組織体制についてお伺いをしたいと思います。

◎整備課長(北宅久友君) 農業委員会は、地方自治法によりまして市町村に設置が義務づけられている行政機関で、公職選挙法を準用した選挙によって選ばれた農業委員を中心に構成される合議体の行政委員会です。
 大阪府内においては、四十三市町村のすべてに設置されており、委員の総数は平成二十年八月一日現在で八百九十四名でございます。委員数につきましては、市町村の農業世帯数や農地面積等により決定され、多いところでは三十五人、少ないところでは九人となっており、委員の任期は三年となっています。
 農業委員会は、公的に認められた唯一の農業と農業者の利益を代表する機関であり、その業務としまして、一つ目は、農地パトロールや担い手の確保と育成など地域農業を振興するための業務、二つ目は、農地転用を中心とした法令に基づく業務、三つ目は、農業者の代表として行政に対し意見表明を行い、政策へ反映させる業務の三つに大別されます。このように農業委員会は多様な業務を担い、農業生産の基盤となる農地の保全に大きな役割と責任を負っています。
 一方、事務局体制につきましては、各市町村とも二人から九人で組織され、その大半が他の行政委員会等を兼務しながら行っているのが実情です。

◆(北川法夫君) 今お聞きしますと、公職選挙法に準じた形で公的に認められた農業委員が約九百人も大阪におられるわけであります。正直、それほどたくさんおられるのかという、人数を初めて聞かせていただいて思いました。我が寝屋川でも十七人ほどおられるんですけども、日ごろから面識もありますし、いろんなことでは知っておりますし、農業についていろんな意見を交換することはありますが、それだけ農業が公的な職業として守られているという感じがするわけであります。
 しかしながら、現実的には、先ほど言いましたように、農業委員の多くは地域団体の中で形式的に選出された農家でほとんど固められており、高齢者も多く、青年農業者や認定農業者、また女性委員等の新しい政策を提言するようなメンバーはごくわずかしかいないという現実であると思います。事実、地元の農業者からは、現在の農業委員会はどないなってるねんというようなこともたまに聞いております。このことが大阪の都市農業を低迷させている一つの要因と思うわけでありますが、農業委員の構成や年齢等について現状どうなっているのか、聞かせていただけませんか。

◎整備課長(北宅久友君) 府内の農業委員の実数は、先ほども申し上げましたように八百九十四人で、農業委員会等に関する法律に基づき、直接農業者から選挙される選挙委員と、農業関係団体及び市町村議会から推薦され市町村長が選任する選任委員から構成されておりまして、その内訳は、選挙委員が六百三十九人、選任委員が二百五十五人でございます。
 このうち、女性委員は十六人、また農業の中心的な担い手である認定農業者は七十五人で、両者合わせましても全体の約一割にすぎないのが実情です。また、委員の平均年齢はおおむね七十歳となっています。

◆(北川法夫君) 四十三市町村農業委員会があって、その委員数は農業の世帯数や農業面積やらで決められているわけでありますけども、調整区域、そして農振地域、いろいろ地域があって、生産緑地法の中で、都市計画法で認められている農地もありますが、そういう中で市街化調整区域がない市町村は何市ぐらいあるんですか。

◎整備課長(北宅久友君) 府内の市街化調整区域がない市町村につきましては、大阪市を初めとしまして六市町ございます。

◆(北川法夫君) 市街化調整区域、いわゆる生産力の低い、農地のない地域は六市町あるわけで、特に大阪市なんかは、生産力が低いと思われるような農地でありまして、そんな中で農業委員の数もたくさんおられます。そんな中で、農業委員の皆さん方の手当は一体どういうような形の実態になっておるのか。そして、最も高いところの農業委員さんの値段、低いところもあればちょっとお聞かせ願いたいと思います。

◎整備課長(北宅久友君) 農業委員の報酬でございますが、農業委員の報酬につきましては、各市町村が条例で独自に定められているところでございまして、最高が六十一万円、最低が九万九千円となってございます。また、平均いたしますと約二十八万円となってございます。

◆(北川法夫君) それぞれ市町村の財政力によりますから余り言えないんですが、一番高いのが大阪市ですね。そして、一番低いのが千早赤阪村で年額九万九千円と、こういう状況でございます。
 農業委員の選出方法は、公職選挙法に準じた選挙によって選ばれた委員がなっておられるわけでありますが、私の認識では、選挙というものが一切行われずに委員が決まっているように思っておるんですけど、選挙が行われたのはことしですね。ことしは、実際その状況等はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

◎整備課長(北宅久友君) 選挙の実態でございますが、本年七月六日に府内の三十七市町村で統一選挙が行われましたが、結果的にはすべての選挙区で無投票という状況になってございます。

◆(北川法夫君) 無投票ということは、選挙もなく、全部無投票当選と、こうなったわけでありますが、先ほど申し上げました青年農業者や認定農業者、女性の委員はなぜ少ないのか、その理由がわかっておればお聞きしたいと思います。

◎整備課長(北宅久友君) 女性農業者につきましては、従来の農家慣習がいまだに残っているということが原因かと思われます。また、青年農業者や認定農業者につきましては、農業委員として活動する時間が余りないことや活動に余り魅力を感じないなどの要因があるものと考えられます。

◆(北川法夫君) 農業委員が全員無投票で選出されて、また青年層や女性もほとんどいない、さらに平均年齢が七十歳以上では、農業者の多様な意見が反映されているとは到底思えないわけであります。農業委員会が本来の目的からはほど遠い存在になっていると強く思うわけであります。
 府内のある市では、農業委員会の活性化のために勉強会を発足させ、多様で行動力のある人材登用、とりわけ女性・青年農業者の立候補促進と環境づくりを中心課題に協議を重ねた結果、さきの農業委員会の統一選挙で、現場の第一線で活躍する女性と青年認定農業者の選出に結びつけておられたということを聞いておりますけども、これはまずどこの市か、わかればお教え願いたいと思います。

◎整備課長(北宅久友君) 委員御指摘の市は、茨木市というふうに聞いております。

◆(北川法夫君) 茨木市ではそういうふうに取り組んでおられるわけであります。しかし、ほかの市を聞きますと、このような農業委員会は全くないわけであります。府としても、人材の多様化に向け、農業委員会に働きかけるなどして取り組みを進めていかれるべきではないかと思うわけでありますが、その点はどうですか。

◎整備課長(北宅久友君) 委員御指摘のように、農業者の意見を行政に反映させる役割を担う農業委員の人材が多様化すれば、農業者の意見が農業委員会により幅広く反映されるものと考えています。女性や青年農業者を初めとした多様な人材が委員として選任あるいは選出されることは、農業委員会の活性化に寄与するものであり、今後、府内の農業委員会を統括している大阪府農業会議とも連携しながら、さまざまな場を活用し、農業者の意識を高めてまいります。

◆(北川法夫君) 多様な人材の登用によって府内の農業委員会が活気づくよう、府としてもしっかりと市町村をサポートしていただきたいと思います。
 農業者と行政、農業団体等の関係が希薄になりつつある昨今、求められる役割も多様化してきております。府内の先駆的な取り組みを行っている農業委員会は、消費者や異業種関係者との意見交換を初め、意欲ある担い手の活動支援、農業者の相談役、コーディネート役等、行動する農業委員会としてさまざまな活動を展開しており、その結果が優良な農業者や農地の確保につながっています。今求められているのは、このような役割の変化に対応できる農業委員や事務局職員の養成であり、そのための意識改革が必要であると思います。
 さらに、最も重要なことは、農業委員会の機能が低下している現実からは、法律で定められた行政委員会としての本来の機能が発揮できるように、府としても市町村の農林行政担当部局をきっちりと指導していく必要があると思います。府の農業施策の推進や、ひいては大阪農業を守ることにつながると思うわけであります。
 今後、府としても、農業委員会の活性化に向けた市町村の指導の徹底を図るべきと考えますが、府の対策をお聞きしたいと思います。

◎整備課長(北宅久友君) 委員御提示のように、近年、農業委員会の役割の重要性はますます高まってきており、また業務も多様化しているため、大阪府としましても、農業委員の意識改革に向けた取り組みや、農業委員会の活性化に向けた支援や働きかけの必要性については十分認識しています。
 今後の活性化に向けた取り組みとしては、大阪府農業会議とも十分連携を進めるとともに、市町村に対しましても、府の条例の推進や農業施策の周知徹底とあわせ、いろいろな機会を活用して要望や働きかけを行ってまいりたいと考えています。

◆(北川法夫君) 統括している農業会議において、この活性化のために、本来知事が出ていただいて、活性化に向けて一つのアドバルーンを大きく上げていただきたいんですけども、農業委員の憲章というのがありまして、農業委員は、農業、農村、農業者の代表として、新基本法農政の推進に努め、国民の期待と信頼にこたえますと、こう書いてあります。農業委員は、食料の自給率向上のため、適正な農地行政に努め、優良農地の確保と効率利用を進めます。農業委員は、意欲ある担い手を育成確保し、望ましい農業構造を実現するため、農用地の利用集積と集団化に努めます。農業委員は、地域農業の持続的発展のため、認定農業者等の経営支援を強化し、農業、農村の振興に努めます。農業委員は、暮らしと経営に役立つ情報の収集、提供に努め、活力ある農業と農村社会を目指しますと、こう書いてあります。
 この農業委員が九百名もおられるということでありますから、その統括をして、これから農業会議、いろいろと大阪府が推進をしようとしてる農業施策も、こことの連携、そして意見をいろんな形で市町村に言っていただかなければ推進がなっていかないと思いますので、このことについて、統括されている部長--知事に言いたいんですが、部長から意見を聞かせていただきたいと思います。

◎環境農林水産部長(志知道博君) 農業委員会は、御指摘のとおり、大阪の農業と農空間を守るため、各市町村の推進役として、また農地の番人として大きな役割を担っているところでございます。
 今後、農業委員会におきまして、先ほど御指摘のありましたような女性や青年農業者の活躍の場が広げられるなど活性化が図られますとともに、農業委員会が多様な業務を的確に遂行することにより府民の理解が得られますよう、私どもといたしましては府農業会議とともに市町村及び農業委員会に働きかけてまいりたいと存じます。

◆(北川法夫君) よろしくお願いをいたしておきます。
 次に、プラスチックのリサイクルとごみ処理の広域化についてであります。
 寝屋川のプラスチックのごみ処理の広域化について、何回も委員会で質問をさせていただきました。寝屋川市内の二つの廃プラスチックの処理施設をめぐり、住民の皆さん方が、大気中に有害物質を放出し健康被害を起こしているとして操業差しとめを求めた訴訟の判決が先般大阪地裁で言い渡されたところ、判決は、住民の請求が棄却された形になっております。今回の訴訟は、廃プラ処理施設から発生する未知の複雑な大気汚染物質と人体影響とを結びつける困難な訴訟であったと思っております。
 そもそも、どのような有害物質が発生するかということはなかなか難しいものでありまして、においが発生して、これは住民の皆さん方はみずから、私もそのにおいは聞いております。そういう施設を自治体が整備して、そして周辺住民に不安を与えることがあってはならない。しかし、現実としてそういう問題が起こっておったということであります。
 そこで、廃プラの処理方法について若干お伺いしたいんですけども、武田邦彦先生の著書「偽善エコロジー」にもあるとおり、廃プラスチックのマテリアルリサイクルには、効率性、経済性、環境負荷の観点から疑問がある。最新の技術を導入した規模の大きい焼却炉に集約し、焼却処分、エネルギー回収をしたほうがよいと書いてありました。私もそうではないかなと思っておりますが、この点について府の考え方をお聞かせ願いたいと思います。

◎資源循環課長(北村元伸君) 廃棄物を原材料として利用するマテリアルリサイクルと、廃棄物を焼却処分する際に発生する熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルの比較についてでございますが、国は循環基本法の中でマテリアルリサイクルをサーマルリサイクルに優先するということを明確にしているところでございます。
 マテリアルリサイクルが適正に行われれば、焼却処分、エネルギー回収に比べまして、効率性、環境負荷において劣るものではございません。廃棄物の減量化、資源の節約、温室効果ガス排出削減など多面的な意義があるということでございます。経済性につきましては、石油資源の高騰などにより変化するものではございますが、現在の処理費用の多寡だけでは単純に比較できないというものでございます。
 また、容器包装リサイクル法におきましては、プラスチック等容器包装の製造事業者、利用事業者にも再商品化義務を課すということによりまして、排出量の抑制を図っておるところでございます。
 このようなことから、府としては、国の方針に基づきまして、廃プラスチック容器包装のマテリアルリサイクルを進めることが必要であると考えているところでございます。

◆(北川法夫君) 国の法律が、平成十二年に容器法というのができて、それまでに、プラスチックというのは、炉が傷むから、かさばるからということで別に収集されておって、このことはもう委員会で何回もやらせていただきました。
 今回、寝屋川で訴訟になって、そういう住民の皆さん方に不安感を与えたり、再商品化施設の中で熱処理をしているところからいろんな物質が出ているという事実と、そしてそのにおいと、そしてVOCの数値が非常に高いということでさらに不安感を与える。そしてまた、裁判所の判決文にあったように、その地域の環境というのは非常にこれから先不透明な部分がある、だからこれからはきちっと情報公開をしなさいよという言葉もありました。
 それから、先日、総合研究所を視察していたときに、広域的に、いわゆる中国からの黄砂とかいろんな形で、これからの大気はどのような形で我々の人体に影響するか予知できない部分もたくさんあると、こういう説明も受けたわけであります。
 今、アスベスト問題も非常に世間を騒がせておりますけれども、これもやっと死因が、アスベストの針状のやつが肺に入って、そういう作業所の人が亡くなったことはそれが原因だと言われて、今日に至っております。
 結果が出てからじゃなしに、こういうふうな不安を与えたりいろんな形が出てくるということに対して、行政側はもっと先駆的な取り組みをこれからされていく、そして情報公開をきちっとされて、住民の皆さん方の不安を一掃される、このことをこれからも皆さん方にお願いをして、この質問は要望をしておきまして終わりたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

●平成20年10月7日 9月定例会環境農林常任委員会